BAK療法(免疫細胞BAK療法)

BAK療法の成り立ち

BAK療法(免疫細胞BAK療法、BRM Activated Killer [ 生物製剤活性化キラー ] 療法、がん免疫細胞療法)は、海老名 卓三郎 先生(仙台微生物研究所 第2代 理事長、医学博士、宮城県立がんセンター研究所 初代 免疫学部長、元東北福祉大学 教授・特任教授)によって開発されました。

 

当初はBAK療法が受けられるのは仙台微生物研究所・免疫療法センターだけでしたが、現在では多くの医療機関でBAK療法が受けられるようになりました。
仙台微生物研究所では現在、再生医療等提供を直接行うのではなく「BAK療法」を中心に研究開発を行っております。

なお、再生医療を提供する医療機関は厚生労働省 地方厚生(支)局へ届け出が受理されている必要があります。(再生医療等の安全性の確保等に関する法律、再生医療等安全性確保法

癌に対する治療法・予防法としてのBAK療法

BAK療法は次のようにまとめられます。

  1. およそ70%の癌患者様に効果がある。
  2. 効果が無いと考えられている30%の患者様もBAK療法を続けたり炎症を抑える等、様々な方法でα1-AGを下げると効くようになる。
  3. 発癌予防、再発予防にも効果がある。
  4. 抗癌剤と違い耐性が無い。
  5. 副作用が無い。

BAK療法:治療の流れ

1、患者さんから20ml末梢血を採血する。

2、リンパ球(3-5×107)を分画し,固相化抗CD3抗体とIL-2(700U/ml)の生物製剤を処理し、特殊な培地中で培養を開始する。

3、およそ2週間かけてアリス無血清培地とIL-2(175U/ml)で4ℓまで培養し、無菌テストに合格したリンパ球にIFN-α(1000U/ml)を15分間だけ処理してリンパ球を活性化する。

4、およそ2週間の培養後に活性化したリンパ球(1010)を200mlのリンゲル液に入れ患者さんに点滴静注でおよそ1時間かけて戻す。

BAK細胞の特徴

キラーT細胞(CD8+陽性細胞)が最も多いのは当然であるが、従来の活性化リンパ球療法と比較して以下の点が特徴的である。

  1.  NK細胞数が多い。
  2. γδT細胞数が多い。
  3. その中でCD56陽性細胞(キラー活性の強いNKおよびT細胞に発現する)が多い。

 

2022年8月8日 2022年4月26日 2022年1月31日
総細胞数 127億個 131億個 141億個
生細胞率 99.6 99.6 99.1
NK細胞% 26.6 22.16 17.08
ヘルパーT細胞% 1.2 1.61 1.34
キラーT細胞% 63.4 68.1 69.48
γδT細胞% 14.17 14.64 16.56
CD56陽性細胞% 34.73 33.05 29.92
植込細胞数 2210万個 3960万個 4610万個
増殖倍数 574.7倍 330.9倍 305.9倍
培養日数 17日 15日 14日

マクロファージ(大食細胞)が、がん細胞を貪食する

NK(自然の殺し屋)細胞が、がん細胞を破裂させる

γδT細胞が、がん細胞を殺す様子

BAK療法のバイオマーカー血清α1酸性糖蛋白値 alpha 1 acid glycoprotein (α1-AG)

  1. 主に肝臓で産生され、組織の損傷や感染、炎症により誘起される。
  2. 免疫機能の低下、栄養状態の悪化により増加する。
  3. 肺癌、肝細胞癌など細胞増殖を伴う病態で増加が著しい。
  4. 1、2、3をまとめると患者さんの一般状態を知る示標として最も優れていると思われる。

BAK療法の治療効果を検討するに際して、バイオマーカーα1-AGを用いた。

バイオマーカーα1-AGによる 高度進行癌患者496症例のBAK療法における平均生存期間の比較

  1. 免疫抑制末期癌患者(α1-AG ≥ 96 mg/dl))
    全固形癌 10.5  月(n=150)
    肺癌 7.2  月(n= 42)
  2. 高度進行癌(stage IV並びに手術不能III)患者(α1-AG < 96 mg/dl)
    全固形癌 61.0月(n=346)
    肺癌 53.0月(n= 71)
    大腸 49.0月(n= 56)
    乳癌 82.5月(n= 50)
    胃癌 43.1月(n= 31)
    頭頸部癌 59.6月(n= 24)
    前立腺癌 79.6月(n= 18)
    卵巣癌 49.6月(n= 17)
    子宮癌 82.8月(n= 18)
    膵癌 20.8月(n= 14)
    腎癌 94.1月(n=9)
    食道癌 78.8月(n=12)
    膀胱癌 66.1月(n=8)
    胆管癌 57.3月(n=3)
    悪性黒色腫 89.0月(n=3)

BAK療法を受けられたα1-AG高値および低値 – 進行癌患者496症例の平均生存期間(月)

BAK療法のResponder(効果があった患者様)346/496= 69.8%

BAK療法を受けられたα1-AG高値および低値進行癌患者323症例の生存期間(月)

BAK療法のResponder(効果があった患者様)230/323= 71.2%

肺がんの生存率

進行度(ステージ) – 例・肺がんの場合

がんの進み具合を腫瘍の大きさや浸潤の具合や転移の有無などによって分類したものです。通常、ステージ1からステージ4までに分けられます。

進行度(ステージ)

がんの進行レベル別 5年相対生存率

ステージ1
最初の臓器
での発症
ステージ2
所属リンパ節
への転移
ステージ3
隣接する臓器
への転移
ステージ4
遠く離れた臓器
への転移
胃がん 88.6 41.3 9.2 1.3
結腸がん 93.4 63.3 34.1 5.8
直腸がん 86.9 53.7 31.5 5.2
肺がん 52.0 14.8 8.3 2.1
乳がん 96.0 76.5 64.8 18.7
子宮がん 91.2 54.1 46.7 13.1

資料:大阪府がん登録(1993~95 新発届け出患者)
5年相対生存率=患者の5年間の生存率と一般集団の5年間の生存率の比

進行肺がん患者の予後は極めて悪い

従来の療法による肺癌の生存率

BAK療法を受けられたα1-AG高値および低値進行肺癌患者82症例の平均生存期間(月)

 

BAK療法の有効症例は全癌種でおよそ70%
ちなみに、「夢の治療薬」と言われた免疫チェックポイント阻害剤オプジーボの治療効果はわずか20%程度

100%にする為には、、、

免疫抑制因子α1-AGを下げれば良い!

血清α1酸性糖蛋白値(α1-AG)とは、、

  1. 主に肝臓で産生され、組織の損傷や感染、炎症により誘起される。
  2. 免疫機能の低下、栄養状態の悪化により増加する。
  3. 肺癌、肝細胞癌など細胞増殖を伴う病態で増加が著しい

  1. 癌や感染等に伴う「炎症」を抑えること
    →タヒボ、CBD等のサプリメントの併用
  2. 栄養状態を良くすること
    →食事、サプリメント
  3. 免疫機能を高めること
    →食事、サプリメント、適度な運動、BAK療法を続けること

BAK療法の継続によりα1- AGの低下→さらなる治療効果の増強

患者 : 71才女性,肺癌術後

症 例

症例1 肺癌

2011年に肺癌と診断。治療のために2012年6月よりBAK療法施行中。
2013年7月にBAK療法半年後のPET/CT検査施行。

右下葉の病変に対して著名な縮小と集積の低下を認めた

症例2 肝癌

肝癌に対するBAK療法(BAK細胞の肝動注)

PET/CT Imaging

肝腫瘍の消失を認めた

テロメスキャン

末梢血液中を循環する腫瘍細胞( Circulating Tumor Cells :CTC)を検出するシステム。
画像で検出不可能な癌細胞までも明らかにし、発癌、再発、転移のリスク、治療効果の判定を行う。

我々は、BAK療法の効果判定にテロメスキャンを用いた。
緑に染まった癌細胞を算出する。

蛍光顕微鏡によるCTC検出・観察

症例3 切除不能スキルス胃癌、腹膜播種(50歳代、女性)

BAK療法、2013.6~2013.9(1クール)、2013.10~(2クール目の予定)樹状細胞ワクチンおよびCDC6を併用した。

BAK療法1クール後、画像上骨盤部の播種病変の消失を認めた。
テロメスキャン:陽性CTC 0個。

症例4 食道癌

BAK療法を実施

食道に集積を認める。

9ヶ月後の画像
癌を疑わせる集積は認めない。
テロメスキャン:GFP陽性CTC 2個。

14ヶ月後の画像
再発所見なし。
テロメスキャン:GFP陽性CTC 0個となる。

20ヶ月後の画像
再発所見なし。

症例5 胃癌術後

初診時の画像
PET検査にて腹部リンパ節への転移を認める。標準療法と合わせて免疫療法実施
テロメスキャン:陽性CTC 3個

3ヶ月後の画像
化学療法+免疫療法後のPET-CT画像。リンパ節転移の消失を認める。
テロメスキャン:陽性CTC 0個。

症例6 甲状腺癌術後

臨床経過

2010.3
甲状腺癌にて手術
2013.1
PET-CT、超音波検査・マンモグラフィー・テロメスキャン施行
USにて右乳管内乳頭腫疑い
テロメスキャン:陽性CTC 15個
免疫療法施行(隔週法 計6回)
2013.6
テロメスキャン施行
テロメスキャン:陽性CTC 0個
現在まで再発は認められない

2013.1 検査画像

症例7 中咽頭癌

術後BAK療法

初診時の画像
PET検査にて右中咽頭壁側に集積を認める。
精査の結果、中咽頭癌と診断。

11ヶ月後の画像
再発フォローの画像診断
原発腫瘍およびリンパ節転移の消失および著明な縮小を認めた。
テロメスキャン:陽性CTC 0個