事業の概要と研究成果

生物製剤を利用した難病(特に癌)に対する免疫療法の研究開発及び技術開発

公益財団法人 仙台微生物研究所 は1965年(昭和40年)の設立以来、微生物生態学、病原性、バイオテクノロジー、医療技術、薬剤開発など、幅広いテーマをカバーして研究してまいりました。

再生医療等安全性確保法第35条第1項の規定により許可された細胞培養加工施設、
再生医療等安全性確保法に準拠し有識者の合議制による再生医療等委員会による認定
独立行政法人 医薬品医療機器綜合機構(PMDA)による特定細胞加工物製造許可、
免疫細胞BAK療法の再生医療等提供計画(厚生労働省東北厚生局へ届出・受理)などを経て現在は「免疫細胞BAK療法」を中心に研究開発を行っております。

研究開発及び技術開発において重要な成果を上げ、国内外の研究者との協力を通じて特に癌に対する療法の発展に貢献しています。


微生物学、免疫学、腫瘍学、公衆衛生学の分野で卓越した業績を挙げた若手研究者の顕彰による疾病対策の推進及び公衆衛生の向上

石田名香雄記念「北斗医学賞」

石田名香雄博士は、東北地方を世界に誇る天賦の才と情熱を持つ医学者であり、微生物学・免疫学・腫瘍学などの広範な分野で世界的名声を築きました。彼は昭和28年にセンダイウィルスを発見するだけでなく、昭和40年には仙台の土壌から制癌剤ネオカルチノスタチンを発見し、その特許を基に仙台微生物研究所を設立しました。

博士の遺志は第2代 代表理事である海老名卓三郎博士によって開発された癌に対する「免疫細胞BAK療法」として現在も発展しています。

平成21年12月に石田博士が亡くなったことをきっかけに、石田博士の功績を記念し、微生物学・免疫学・腫瘍学・公衆衛生学などの分野で卓越した業績を挙げ、今後もこの分野の研究を推進する東北の若手研究者を顕彰する「北斗医学賞」が創設されました。この賞は、石田博士が愛した北斗七星に由来して命名されました。

現代において、癌や感染症の問題は世界人類への脅威であり、大きな社会的な課題となっています。これらの疾病の克服は容易なことではありませんが、医学研究における故石田名香雄博士の真摯な姿勢に象徴される忍耐と勇気の精神が今こそ求められています。

この賞は、この精神を受け継ぐ若手研究者を称えることで、東北地方で研鑽に励む若手研究者の活動を支援し、勇気づけ、そして医学・医療の向上に貢献することを目的としています。

北斗医学賞の概要

■目的

医学研究のうち、公益財団法人仙台微生物学研究所の定款第4条の事業内容に対応した微生物学・免疫学・腫瘍学・公衆衛生学等の分野で卓越した業績を挙げた、日本細菌学会東北支部会員の若手研究者を顕彰することにより、同分野に関わる医学の発展あるいは疾病対策の推進に資し、もって人類の健康と繁栄に貢献することを目的とする。

■受賞対象者
  • 感染症・免疫病・がん等の疾病対策のため、東北の医学研究分野において顕著な功績を挙げた者。公衆衛生学については、受賞理由となる功績が主に東北で実践され地域の保健・福祉の向上に貢献した者であること。
  • 日本細菌学会東北支部総会において優れた演題発表を行っていること。
  • 年齢が受賞時において満50歳以下であること。
  • 国籍については問わない。
■本賞・副賞

海老名卓三郎博士がアラスカで撮影した北斗七星とオーロラ(ノーザン・ライト)の写真を元にデザインしたメダルを贈呈し、副賞として30万円を授与する。

■授賞頻度

毎年1名

■選考

公益財団法人仙台微生物学研究所の定める「北斗医学賞選考委員会」が選考を行い、公益財団法人仙台微生物学研究所理事会において決定する。

第1回(平成23年度)受賞者
渡邊王志氏(国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター)
受賞題目「仙台市及び山形市における小児のパラインフルエンザウイルス4型感染症」

第2回(平成24年度)受賞者
生田和史氏(福島県立医科大学医学部微生物学講座)
受賞科目「聴覚障害を引き起こすサイトメガロウイルス感染・モデルマウスを用いた解析」

第3回(平成25年度)受賞者
小笠原康悦氏(東北大学加齢医学研究所・生体防御学分野)
受賞題目「ドレス現象によるNK細胞の細胞死機構の発見」

第4回(平成26年度)受賞者
三好就英氏(東北大学大学院農学研究科・動物微生物学分野)
受賞題目「マダニ由来抗菌ペプチド Persulcatusin の構造と活性」

第5回(平成27年度)受賞者
小野久弥氏(弘前大学大学院医学研究科感染生体防御学講座)
受賞科目「マーモセット嘔吐モデルの確立およびブドウ球菌エンテロトキシンの嘔吐発現機序の解明」

第6回(平成28年度)受賞者
森田英嗣氏(弘前大学農学生命科学部・分子生命科学科)
受賞題目「フラビウイルス粒子形成に関するESCRT因子群」

第7回(平成29年度)受賞者
西川路武人氏(宮城県立がんセンター研究所・がん先進治療開発研究部)
受賞題目「扁平上皮癌の増殖と浸潤を同時に制御する鍵分子S100A10の同定と機能解明」

第8回(平成30年度)受賞者
井田智章氏(東北大学大学院医学系研究科・環境医学分野)
受賞題目「種横断的システインバースルフィド合成酵素の発見とその生体防御機能の解明」

第9回(令和元年度)受賞者
河部剛史氏(東北大学大学院医学系研究科・免疫学分野)
受賞題目「新規のCD4 T細胞サブセット「MP細胞」の産生機構およびその自然免疫的感染防御機能」

第10回(令和4年度)受賞者
鈴木康規氏(北里大学獣医学部准教授)
受賞題目「Rhodococcus equi 毒力関連抗原VapN の発現量はアンチセンスR N A
       の発現変化によって抑制されることを証明」


研究成果

特  許(抜粋)

活性化されたキラー細胞を含むリンパ球の製造方法
[出願人/特許権者]公益財団法人仙台微生物研究所、[発明者]海老名卓三郎
[出願番号(国際出願番号)]特願2020-061380、[公開番号(公開出願番号)]2020年03月30日、[出願日]12020年03月30日、[公開日(公表日)]2021年10月11日
マツタケ由来陰イオン交換樹脂吸着画分、免疫増強剤、及びストレス負荷回復促進剤
[出願人/特許権者]株式会社クレハ、[発明者]海老名卓三郎、松永謙一
[出願番号(国際出願番号)]特願2003-569220、[特許番号]特許第4448330号、[出願日]2003年02月24日

キラー活性を増強したリンパ球
[出願人/特許権者]独立行政法人科学技術振興機構、[発明者]海老名卓三郎
[出願番号(国際出願番号)]特願2000-146392、[公開番号(公開出願番号)]特開2001-314183、[特許番号]特許第3904374号、[出願日]2000年05月18日、[公開日(公表日)]2001年11月13日
ヒト末梢血単球の鑑別方法
[出願人/特許権者]財団法人仙台微生物研究所、株式会社科薬、[発明者]馬島 敏郎、石田 名香雄
[出願番号(国際出願番号)]特願昭62-295832、[公開番号(公開出願番号)]特開平1-138459、[出願日]1987年11月24日、[公開日(公表日)]1989年05月31日

文  献(抜粋)

BAK(生物製剤活性化キラー細胞)療法の新たな展開-癌発症・再発・転移予防効果- A New Approach to BAK Immune Cell Therapy Prevents Cancer Occurrence, Recurrence, and Metastasis
[著者]海老名卓三郎(仙台微生物研)佐藤俊彦 (宇都宮セントラルクリニック)、[記事区分]原著論文、[資料]Progress in Medicine 2015
免疫細胞BAK療法の新たな展開:癌発症・再発・転移予防効果
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]日本癌治療学会学術集会(CD-ROM) 2014
免疫細胞BAKリンパ球の腹壁腫瘍への局注療法 Local Injection of BRM-Activated Killer Cells into an Abdominal Wall Tumor
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]原著論文、[資料]癌と化学療法 2013
CD56陽性細胞を利用した免疫細胞BAK療法による癌治療パラダイムシフト
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]日本癌治療学会学術集会(CD-ROM) 2013
CD56陽性細胞を利用した免疫細胞BAK療法による高度進行肺癌に対する延命効果
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]日本癌治療学会学術集会(CD-ROM) 2012
肝癌に対する免疫細胞BAKリンパ球の肝動注療法 Hepatic Intra-Arterial Infusion of Biological Response Modifier (BRM)-Activated Killer Immune Lymphocytes to Treat Liver Cancer
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]短報、[資料]癌と化学療法 2012
転移性肝癌に対する免疫細胞BAK細胞の肝動注の試み Hepatic Intra-Arterial Infusion of BAK Immune Cells to Treat Metastatic Liver Cancer
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]原著論文、[資料]癌と化学療法 2011
高度進行癌(特に肺癌)の免疫細胞BAK療法による延命効果とQOL効果
[著者]海老名卓三郎 (仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]日本癌治療学会誌 2011
高度進行癌に対する免疫細胞BAK療法のQOL調査
[著者]久保典子(東北福祉大 健康科学)、真所弘一(杜のホスピタル・あおば)、鹿野英生(杜のホスピタル・あおば)、鹿野英生(仙台微生物研)、海老名卓三郎(東北福祉大 健康科学)、海老名卓三郎(仙台微生物研)、[記事区分]原著論文、[資料]Progress in Medicine 2011
免疫細胞BAK療法による癌治療のパラダイム・シフト
[著者]海老名卓三郎(仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]Biotherapy (Tokyo) 2011
免疫細胞BAK療法の高度進行癌に対する血清α 1AG値による介入試験 Life-Prolonging Effect of Immunocell BRM-Activated Killer (BAK) Therapy for Highly Advanced Solid Cancer Patients: Prognostic Significance of Serum α1 Acid Glycoprotein (α1AG) Levels
[著者]海老名卓三郎(仙台微生物研)、[記事区分]原著論文、[資料]Biotherapy (Tokyo) 2009
免疫細胞BAK療法は何故副作用が無く,延命効果があるか
[著者]海老名卓三郎(仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]補体シンポジウム講演集 2008
高度進行癌に対する新免疫細胞BAK療法による延命効果と患者満足度調査
[著者]海老名卓三郎(仙台微生物研)、[記事区分]会議録記事、[資料]日本癌治療学会誌 2008

書  籍(抜粋)

がんと共生して長生きする最新免疫治療 副作用がなくQOLが高く保てる免疫細胞BAK療法のすべて
[著者]海老名卓三郎
[抜粋] 現在のがん治療は手術療法・抗がん剤療法・放射線療法が標準療法であり、保険医療が認められている病院はそれしか行われていません。
がんが原発巣だけであれば手術により摘出すれば問題はありませんが、目に見えない転移巣がある場合では予防的に抗がん剤が投与され、副作用に苦しむことがあります。
[出版社]現代書林、[発売日]2019/1/10


「免疫細胞BAK療法」によるがん治療のパラダイム・シフト
[著者]海老名卓三郎
[抜粋] 現代がん治療のまやかしを指摘し、パラダイム・シフトを提唱、がん治療の革命を起こす!がん患者・医療関係者必読の書。
[出版社]近代文藝社、[発売日]2013/9/9


「がん難民を救う「免疫細胞BAK療法」
[著者]海老名卓三郎
[抜粋] 何故「免疫細胞BAK療法」は副作用が無く延命効果があるのか。高度進行がん患者70%が満足を得るがん治療の本命。
[出版社]近代文藝社、[発売日]2008/7/30


研究社 医学英和辞典
[著者]石田 名香雄
[抜粋] 総収録語数15万。
医学関連分野の用語を最大限収録した最新の医学英和辞典。各分野の専門語のみならず、医学関連の一般語、略語、俗語なども広く収録。信頼度の高い訳語、簡潔で的確な説明を付けた。和英対照表付き。 multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa (多剤耐性緑膿菌)やNorovirus (ノロウイルス)、highly pathogenic avian influenza virus(高病原性鳥インフルエンザウイルス)、iPS(=induced pluripotent stem) cell(iPS細胞)、 prepandemic vaccine(大流行前ワクチン)など、医学の進歩を映した最新語も収録。
[出版社]研究社、[発売日]第2版(2008/7/18)